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BtoB決済のインボイス制度対応

インボイス制度の開始により、BtoB決済における請求・支払業務は複雑化しました。本記事では、制度が与えた影響を整理し、ミスを防ぎながら業務を効率化する手法を解説します。

BtoB決済におけるインボイス制度の基礎知識

なぜBtoB取引でインボイス(適格請求書)が必要なのか

BtoB取引においてインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入された最大の理由は、消費税の複数税率化に伴う正確な税額計算の必要性にあります。2019年の軽減税率導入以降、日本の消費税は8%と10%が混在する形となりました。消費税は売手が納税し、買手が仕入税額控除を行う仕組みであるため、一つの取引に対して売手と買手が同じ税率・税額で計算を行わなければなりません。この正確性を担保するために「適用税率や消費税額が明記された」書類、すなわちインボイスが必要となったのです。

法人間取引において、買手側の企業は支払った消費税を自社の納税額から差し引く「仕入税額控除」を適用します。しかし、インボイス制度下では、税務署の登録を受けた事業者から交付された「適格請求書」を保存していなければ、この控除を受けることができません。インボイスに対応できないことは、買手にとって実質的な増税・コスト増を意味します。そのため、現在のBtoB決済の現場では、適正な取引を継続するための必須条件としてインボイスの授受が極めて重要視されています。

仕入税額控除を受けるための「保存義務」の変更点

インボイス制度の施行により、仕入税額控除を受けるための保存ルールは従来よりも厳格化されました。最も大きな変更点は、これまでの「区分記載請求書等保存方式」で認められていた、3万円未満の取引における請求書保存の免除措置が原則として廃止されたことです。以前の制度では、少額の支払いであれば帳簿への適切な記載のみで控除が認められていましたが、現在は金額の多寡にかかわらず、原則として適格請求書の保存が義務付けられています。

また、保存すべき書類に記載されていなければならない項目も追加されました。具体的には、適格請求書発行事業者の「登録番号」、税率ごとに区分して合計した「対価の額および適用税率」、そして「消費税額等」の記載が必須となっています。発行側となる事業者はあらかじめ登録申請を行い、これらの項目を満たした書類を交付しなければなりません。帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる例外としては、3万円未満の公共交通機関の利用や自動販売機での購入のほか、郵便ポストへの差し出し郵便、従業員への出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当、古物営業者が個人から行う古物の購入なども対象となっています。ただしこれらは限定的な列挙であり、日常的な事務用品の購入や経費精算においては原則としてインボイスの要件を満たした領収書の収集と保管が必要となるため、経理実務の負担は大幅に増大しています。

なお、インボイス制度の施行から6年間(2023年10月〜2029年9月)の経過措置として、基準期間の課税売上高が1億円以下または前事業年度上半期の課税売上高が5,000万円以下の事業者を対象に、1万円未満の課税仕入れについては帳簿への記載のみで仕入税額控除が認められる「少額特例」が設けられています。この特例の対象となる中小・中堅企業では、1万円未満の少額取引についてはインボイスの保存が不要なため、自社が対象に該当するかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

【注意】クレジットカード決済とインボイス制度の落とし穴

カード会社の「利用明細」だけでは税額控除が受けられない?

BtoB決済においてクレジットカードは便利な手段ですが、インボイス制度下ではその運用に大きな注意が必要です。多くの企業が経理処理の根拠としているカード会社発行の「利用明細書」や「WEB明細」は、原則としてインボイス(適格請求書)の要件を満たしません。仕入税額控除を適用するためには、書類に「適格請求書発行事業者の登録番号」や「税率ごとの消費税額」が記載されている必要がありますが、カード会社の明細にはこれらの情報が網羅されていないためです。

したがって、カード決済を行った場合でも、カード会社ではなく実際に支払いを行った店舗やサービス提供者が発行する「領収書」や「インボイス」を別途取得し、保存しなければなりません。もし明細書のみで処理を行い、原本となるインボイスを破棄してしまった場合、後の税務調査で仕入税額控除が否認され、追加の納税が発生するリスクがあります。ただし、前述の少額特例や公共交通機関特例・出張旅費等特例など、インボイスの保存なしに仕入税額控除が認められる特例の対象となる取引については、カード会社の利用明細書等に基づいて処理を行っても問題ありません。自社が対象となる特例を正確に把握したうえで運用することが重要です。また、電子インボイスや加盟店が発行する電子的な領収書をデータで保存する場合は、電子帳簿保存法への対応もあわせて求められるため、データの保存形式についても厳格な管理が不可欠となります。

3万円未満の特例廃止が経理実務に与える影響

インボイス制度の導入に伴い、実務上の大きな変更点となったのが「3万円未満の取引における請求書保存免除」の廃止です。以前の制度では、取引金額が3万円未満であれば、帳簿への適切な記載のみで仕入税額控除が認められていました。しかし現在は、公共交通機関や自動販売機での購入などの限定的な特例を除き、原則としてインボイスの保存が必須となっています。この変更は、経理部門の業務フローに大きな影響を及ぼしています。

ただし、前述のとおり、基準期間の課税売上高が1億円以下などの要件を満たす事業者については、2029年9月末まで1万円未満の課税仕入れに限り帳簿記載のみで控除が認められる少額特例が適用されます。自社がこの特例の対象に該当する場合は、1万円未満の取引についてインボイスの収集を省略できるため、業務負担を一定程度軽減することが可能です。一方、特例の対象外となる取引では、現場の従業員が少額の支払いであっても必ずインボイスを回収・提出し、経理担当者が登録番号の有効性を含めた要件確認を行う必要があります。特に法人カードを利用した決済が頻繁に行われる企業では、証憑の収集と突合にかかる工数が以前とは比較にならないほど増大しており、このアナログな確認作業をいかにデジタル化して効率化するかが、制度対応後の大きな経営課題となっています。

インボイス制度がBtoB決済の実務に与えた3つの変化

1. 適格請求書の記載要件チェックが必須に

制度開始後は、取引先から受け取る請求書に「登録番号」や「適用税率」などの法的要件が正しく記載されているかを厳密に確認しなければなりません。形式の自由度が高かった以前の書類とは異なり、現在は不備がある場合、仕入税額控除が受けられない可能性があるため注意が必要です。経理担当者は項目内容を確認する必要があり、目視による確認作業は以前よりも格段に増えているのが現状です。ヒューマンエラーを防ぐための体制づくりが、多くの現場においてこれまで以上に求められています。

2. 仕入税額控除のための保存・管理コストの増加

適格請求書の要件を満たした書類を受領するだけでなく、それらを法令に則って原則7年間適切に保存・管理するコストも無視できません。紙の請求書と電子データが混在する中で、それぞれを検索可能な状態で整理しておく作業は非常に煩雑です。特に複数の拠点を持つ企業や取引件数が多い組織では、情報の集約だけでも多大な時間を要するケースが多く見受けられます。管理が不十分な場合、税務調査の際に指摘を受ける可能性も否定できないため、運用の標準化と効率的な管理手法の確立が急務となっています。

3. 免税事業者との取引における経過措置の把握

取引先がインボイス発行事業者ではない免税事業者の場合、支払額の計算には細心の注意が必要です。現在は経過措置として、免税事業者からの仕入れであっても一定割合の控除が認められていますが、その割合は段階的に縮小されます。2026年9月末までは80%の控除が可能ですが、同年2026年10月からは50%へと引き下げられるため、コスト管理上のインパクトは決して小さくありません。今後のスケジュールを正確に把握した上で、取引条件の再検討やシステム設定の変更といった準備を進めておくことが、混乱を避ける鍵となるでしょう。

BtoB決済をデジタル化してインボイス対応を効率化するメリット

自動照合機能による確認作業のミス防止

デジタル化された決済システムを導入することで、請求書に記載された登録番号の有効性を自動で照合することが可能になります。国税庁の公表サイトの情報と連携して照合できるツールを活用すれば、担当者が手動で番号を検索する手間を大幅に削減できるはずです。手作業による見落としや転記ミスを物理的に排除できるため、コンプライアンスの強化にも直結します。迅速かつ正確な照合体制を整えることは、経理部門全体の心理的なプレッシャーを和らげる大きな助けとなるでしょう。

電子帳簿保存法への同時対応とペーパーレス化

決済プロセスをデジタルに移行することは、インボイス制度だけでなく電子帳簿保存法への対応を同時に進められるという利点があります。システムを適切に設定・運用することで、電子帳簿保存法の要件を満たしやすくなり、保存管理の負担軽減につながります。これにより物理的な保管スペースが不要になるだけでなく、過去の取引情報を瞬時に検索できるようになり、業務の透明性が向上するでしょう。ペーパーレス化の促進は、テレワーク等の柔軟な働き方を支える強力な基盤としても機能します。

支払いサイトの最適化とキャッシュフローの改善

最新のBtoB決済サービスには、カード決済や支払い代行といった多彩な機能が備わっており、これらを活用することでキャッシュフローの最適化が図れます。インボイス制度による事務負担増で支払作業が遅延するリスクを避けつつ、自社の手元資金を柔軟に管理できるのは大きな強みです。支払期日の管理も自動化されるため、うっかりとした失念による信用棄損を防ぐ役割も果たしてくれます。資金繰りの状況をリアルタイムで可視化できる環境は、経営判断を迅速化させる上でも非常に有効な手段だと考えられます。

インボイス対応を加速させるBtoB決済サービスの選び方

既存の販売管理・会計システムとの連携性

決済サービス単体で完結させるのではなく、現在利用している販売管理システムや会計ソフトとシームレスにデータ連携できるかが重要なポイントです。API連携などによって請求データや入金情報が自動で同期される仕組みがあれば、データの二重入力や突き合わせ作業の手間を最小限に抑えられます。システム間の情報の乖離を防ぐことは、決算業務のスピードアップにも大きく寄与するはずです。導入前に自社の基幹システムとの相性を十分に確認しておくことが、投資対効果を最大化させるための第一歩と言えます。

取引先(買い手)にとっての利便性と支払い手段の豊富さ

自社の効率化だけを追求するのではなく、取引先にとっても利便性の高い仕組みを提供することが望ましいでしょう。銀行振込だけでなくクレジットカード払いやコンビニ払いなど、多様な支払い手段に対応したサービスであれば、取引先の経理フローにも柔軟に適合できます。インボイス制度対応の負担は自社だけでなく取引先も同様に抱えているため、負担を感じさせないスムーズな決済体験を提供することは、長期的な信頼関係の構築にも役立つと考えられます。

法令改正や経過措置の切り替えに対するサポート体制

法令や制度は将来的に運用が見直される可能性があるため、それらの変化に迅速に対応してくれるベンダーを選ぶことが重要になります。特に、2026年10月の控除割合変更といったスケジュールに合わせて、システムが自動でアップデートされるサービスは、運用の安定面で非常に安心感があるでしょう。また、不明点が生じた際のカスタマーサポートが充実しているかどうかも、実務を止めないためには欠かせない要素です。制度への深い知見を持ち、技術的な側面から伴走してくれるパートナーを選ぶ視点を持つようにしてください。

BtoB決済の見直しがインボイス時代の競争力を生む

インボイス制度への対応は、単なる法的義務の履行に留まらず、これまでの決済フローに潜んでいた非効率を洗い出す絶好の機会でもあります。特に2026年は経過措置の割合が変化する重要な節目であり、今こそデジタル化を軸としたBtoB決済の再構築が求められています。事務コストの削減だけでなく、キャッシュフローの安定やミスの防止といった多大なメリットを享受するためにも、現状の運用を一度見直してみてはいかがでしょうか。制度の変化を前向きに捉え、自社に最適なサービスを導入することで、より強固な経営基盤を築いていきましょう。

本メディアでは、目的別におすすめのBtoB向け決済代行サービスをご紹介しています。提供する会社によってサービス内容が大きく異なるため、よく比較検討してみてください。

【目的別】BtoB向け
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※1 参照元:Paid公式HP(https://paid.jp/)2025年7月19日調査時点
※2 参照元:マネーフォワード掛け払い公式HP(https://biz.moneyforward.com/kakebarai/